お気楽オーディオ道

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はじめに

 「オーディオ」って死語になりつつある感があります。音楽を聴くという娯楽以外にもたくさんの楽しみが増えたせいもあり,たくさんのお金をかけてまで「音質」を追究する必要性がないでしょう。その上,最近のミニ・コンポは小さい割にはバカに出来ない立派な音を出す物もたくさんあります。
 そんな時代ですが,私なりにオーディオを語らせていただきます。あくまでも個人的な見解です。

「いい音」とは「気持ちいい音」

 オーディオは「より良い音」を追究していくものですが,肝心の「良い音」のはっきりとした定義などどこにもありません。仮に理想的な音がスピーカーから出ていたとしても,部屋やセッティングによって聞こえてくる音は全く違うものになりますし,人間それぞれの聴覚も違えば,体調や時間帯により聞こえ方も変わります。
 音は味と同じような漠然としたものだと私は考えています。どんなに素晴らしい料理でも,毎日続くと飽きますよね。それと同じで,いいシステムを持っていても,なぜか特性は余り良くない古いアンプの音や,フルレンジ1発の音が魅力的に感じることがあるわけです。
 要は本人にとって気持ちよく鳴っていればいいんだと思います。気に入った音が出ているのであれば,他人からいろいろ言われることを気にする必要はないと思います。オーディオはある意味「霊感商法」的な部分がありますからね。数万円とか十数万円するケーブルなんて,普通の人は買いませんが,「これを使えば必ず音が良くなります」などと言われて買ってしまうらしいですね。確かに多少の「変化」はあるんでしょうが,必ずしも良い方向への変化かどうかはわかりません。まぁ,それでも本人が満足していれば,それはそれでいいんでしょうけどね。
 でも,そんな予算があるなら,CDをたくさん買った方がいいと思うんですが。こうなっちゃったら,「音楽を楽しむ」というより,目的が「音を聴く」ことになっちゃってますね。

CDに収録されている音は全部聴きたい

 私がオーディオに凝るようになったのは,もちろん音楽が好きだったからです。ある日,友人に連れられてJBLの4343を持っている人の家にお邪魔しました。自分のレコードを数枚持参して。そこで,聞こえてきた音は,暗記するほどいつも聴いている音とは違いました。音質はもちろんですが,後ろで小さくなっているパーカッションが聞こえたのです。他にもそれまで気付かなかった音が聞こえてきました。
 そのとき強烈に感じたのは,「入っている音は全部聴かなきゃ損だ!」ということです。

 音楽好きな人ほど,きちんとしたシステムで自分の愛聴盤を再生したときのショックは大きいようです。その後,オーディオの泥沼にはまることはないにしろ,とりあえずスピーカーを買い換える人は多いです。

主役はスピーカー

 実際に音を出すのはスピーカーですから,まずは気に入った音のスピーカー探しです。音を聴いて選ぶ(愛聴盤持参で)のは絶対条件です。どうしても欲しいスピーカーに出会い,手に入れることが出来れば,それだけで大体完結です。でも,それまでのシステムで,スピーカーだけを変更した場合(元システムが比較的普通の場合),スピーカーの実力は十分発揮されない場合がほとんどです。もっといいアンプで鳴らせば音は変わります。ただ,スピーカーの変更での音の変化から比べると,アンプの変更での変化は非常に微妙で,音のニュアンスが変わるような感じです。「音質自体はそう変わらないのに,VOLを上げてもうるさく感じなくなった」とか,「打楽器系が気持ちよくなった気がする」程度です。
 その程度の変化を追究するようになったら,立派なオーディオ・マニア。泥沼が待ち受けているかもしれません。

 

真空管アンプ

 専門誌に記事を書くほどの知人がいるので,その影響で,3台製作しました。とはいうものの,私は絶対的真空管アンプ信者にはなれていません。半導体のアンプもいい音を出すものがあるからです。現在メインで使っているアンプは半導体です。20年前に20万円もした高級機を前述の知人がレストアしたものの,「置く場所がない」ということで使わせてもらっています。300Bのアンプと比較試聴をしましたが,電源投入後時間が経過すればするほど(エージングが進むほど)区別がつかないほどの音色でした。ほんのわずか,Vocalの「サ行」が耳障りに聞こえたのは300Bの方でした。で,大きくて重たい半導体アンプを移動するのもいやだし,真空管アンプは比較的小さいので収納しやすいということで,メインアンプ交代となりました。
 音の差は大したことはない,と思いますが,C/P比でいくと真空管にずいぶんと分があります。半導体のアンプで「欲しい」と思わせるような音を出すのは,市販で20万くらいする高価なものばかりですが,真空管はその半分以下でも満足いく音を出してくれます。
 ギターアンプの話になると,ほとんどのギタリスト&経験者は真空管アンプ支持ではないでしょうか。私もその一人です。オーディオの場合,歪ませることはありませんが,無意識の領域であっても「心地よく」鳴っているのは真空管の方なのかもしれません。

 これ以上アンプを持っていても仕方ないと思いつつ,時間と予算の都合がつけば,最初に手にした6CA7/EL34のシングルアンプを作ってみたいという希望はあります。このアンプも前述の知人のもので,数ヶ月わが家で鳴っていましたが,買い手が決まったということでドナドナとなりました。

腕組みして聴かない

 基本的に音楽は何かをしながら聴くのが好きです。運転しながらとか,ネットしながらとか。腕組みして「うーむ」って気合い入れて聴いていたら,疲れますし,楽しめませんから。本当はリスニング・ポイントに座って,というのがセオリーなんでしょうが,私は1曲で「もういいや」となります。

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