PMA-9.5 コンデンサ交換によるチューンナップ

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 普通,オーディオのチューンナップはセッティング(インシュレーターや台)を変えてみたり,ケーブルを替えてみたりするのが一般的です。ちょっと凝ると内部に振動止めのブチルゴムを貼る人もいます。さらには内部配線のケーブルを替えてみたり,コネクタを外して直結にした強者もいました。

 私は基本的に微妙な音の差に対するこだわりが余りなく,「わかったようなわからないような変化」にお金と労力を注ぐことはしないタイプです。

 職場の先輩で「コンデンサの重要性」を説く人がいて,その人は自作のアンプで試し,さらには市販のミニコンでも効果があるかを試すなど,非常に熱心な人なのです。ミニコンでは驚くほどの変化があったと話していました。私は興味を感じつつも,大変そうな作業なだけに試すつもりは全くありませんでした。

 今回,ジャンク品のアンプを手に入れたので,修理のついでにならちょっとやってみようか,という気になりました。そこそこ素性のいいアンプで,しかもオーディオ用のコンデンサが余り使われていない機種だけに,交換による効果に期待が持てます。高級機の場合は最初からいい部品が使われているため,効果が感じられないかもしれません。

 ただ,機器の内部を扱う場合,それなりの覚悟が必要です。基本的には取扱説明書では「開けないように」と注意書きがあります。それ以上踏み込む場合,全ての責任は自分で負うことになります。また,仮に失敗して「音が出なくなった」とか「電源が入らなくなった」という場合,改造品ということで,メーカーでのサービスが受けられなくなると考えておいた方がいいでしょう。そういう理由から,非常にリスクの高いチューニング方法ということを,肝に銘じておかなくてはなりません。
 まずは,修理に関して交換した部品です。購入した時点では「電源入らず」でした。

 左から「焦げたヒューズ」「壊れたFET」「リレー」です。恐らく,スピーカーケーブルをショートさせた状態でVOLを上げてしまい,ショートさせたチャンネルのみのFETが壊れ,ショート状態になったためヒューズが切れた,というところでしょう。
 リレーは特に不具合はありませんでしたが,消耗部品なので,ついでに交換しました。
 次はチューンナップに際し,交換した(元の)電解コンデンサです。大きな2本は電源部のもの。小さいのは信号回路周辺のものです。オーディオ用の高品質のものは通常サイズより大きいので,スペース的に無理な部分もありました。回路図上では交換するのが好ましいとされるコンデンサは20本ほどありましたが,わざわざ揃えるだけの熱意もなく,その辺に転がっているもので使えるものだけを交換しました。11本となりました。 
 電源部の大きな2本を交換するだけでも,その差は体感できるという話です。基本的に容量は同じもので,耐圧は同等かそれ以上のものに交換します。極性に気を付けることは言うまでもありません。
 リア側の様子。○印のが交換したコンデンサです。電源部の2本はありあわせを使ったため,サイズが揃っていません。足の間隔も違っていたため,ちょっと大変でした。右上の基板の下側で見えない部分で4本交換しています。

 残り4本はフロント側のメインVOL付近です。ここは狭い場所にふた回りほど大きいコンデンサを入れ込むため,苦労しました。作業中の写真を撮っておけばよかった!。

 電源部の1本を除き,ELNAのSILMICUへと交換しています。
 先輩のアドバイスにより,電源部のコンデンサには並列にメタライズド・コンデンサを入れました。容量は0.1μFにしました。
 容量の合うものが見つからず,交換できなかったものの中で,重要と思われるものには,電源部と同様に並列にコンデンサを入れます。こちらはフィルムコンデンサで,容量は0.01μFです。これでも効果があるそうです。これも含めると合計13本のコンデンサに手を入れたことになります。
 何回かに分けて作業をしたのですが,合計4時間は間違いなくかかったと思います。まず,今回の改良に合うコンデンサ探し,交換する部品の位置確認に時間がかかりますし,スペースのない部分に入れ込む場合,コンデンサを寝かせるなどの面倒な作業がありましたから。

 いよいよ電源投入です。コンデンサの極性には注意しながら作業をしましたが,念のためにスライダック(電源電圧を可変するトランス)で電圧を上げていきます。60VくらいでLEDが点灯,70VくらいでリレーがONしました。しばらくそのままにしても異常がないため,作業はうまくいっているようです。

 そして音出しです。交換前と直接聴き比べることは出来ませんので,今回はメインで使っているPMA-S10Uとの比較を交換前後にし,その印象の違いで比べています。客観的なテストとは言えませんが,少しは参考になると思います。
 一聴して音の印象は変わりました。音の厚味が増した感じです。特に低音は厚味が増した感じで,S10Uと比べても大きな差は感じません。高音部はレンジが伸び,金属系打楽器の音にきらびやかさが出てきました。とは言ってもS10Uほど心地良く響いてはくれません。大きな差はありませんが。CDによっては音の差がほとんど感じられないものもありますが,録音のいいCDではやっぱりちょっと印象が変わります。9.5は頑張って音を出している感じで,音が前に出てくる印象があるのに対し,S10Uはパワーにゆとりがあるせいか,たっぷりと鳴っているにも関わらず音の張り出し感がなく,きっちり定位するべき位置に音があるっていう感じがします。
 気合いを入れて聴くレベルのVOLでは差は感じますが,適当に流す程度のVOLではわかりません。普段使いには十分すぎるレベルの音です。
 自分で手を入れた機器には愛着が湧いてくるものです。この省スペース性・発熱の少なさは大きな魅力なので,当分の間,9.5の方をメインで使うことにしました。ただ,S10Uをしまい込むには相当な労力を必要とするため,ラックの空きスペースを組み替えることによって9.5の居場所を作りました。ケーブルのつなぎ変えだけでいつでも切り替え可能です。

 写っていませんが,最上段にはSONYのMDプレイヤーがあります。DENON製品ばかりになってしまってます。
結論
 コンデンサの交換は効果絶大なり。
その効果は,ケーブル交換や防振よりもはっきり音に出てきます。腕に自信がある方は挑戦してみては?。電源部の2本を交換し,メタライズを並列に入れるだけでも違うそうです(未確認)。回路図がなくても,入力部分やメインVOL付近は信号に関係する部分が何となく分かりますし,FETの近くにも重要な部分があるので,交換対象のコンデンサはある程度特定できるはずです。
 繰り返しになりますが,交換に際しては
  ・ 容量は同じ物に,耐圧は同等以上に。
  ・ 極性を間違えないように。
  ・ 作業前にメインのコンデンサを十分に放電させる。
  ・ コテ先で回路ショートさせないように。
などに注意しましょう。
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