熊本県道52号〜五家荘〜ぼんさん越〜椎葉
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2011年の秋、バイクに乗るようになって初めて五家荘エリアを走ったときにせんだん轟の滝駐車場で出会ったNinja250氏からその険道ぶりを聞いて以来、八代市泉町(旧泉村)下岳から酷道で名高いR445の椎原へと抜ける県道52号が気になっていました。2013年からはディスクゴルフで立神峡へ行ったり、鮎を食べに行ったりでR443を通る機会が増え、氷川ダム横の入り口を通る度にその思いが増幅していました。

そして同じ2013年、マイナリストT2さんのブログ衝撃のツーレポがアップされました。五家荘樅木から椎葉へと抜ける峠道をロードバイクで駆け抜けるという内容なのですが、何とこの道、ほとんどのWeb地図では表示されない道なのです。それだけでも十分魅力的ですが、九州の二大秘境とも言える五家荘と椎葉を直接結んでいる道であること、しかも九州の舗装路では最高地点(1480m)を通るというオマケまで付いているんです。

そこで私は思い付きました。いっそこの二本の道を一気につないで泉町の氷川ダムから宮崎県の椎葉まで険道・酷道そして険道昇格を目指す道三昧のコース設定はどうかと。泊まりツーリングの一部として組み込むこともできるでしょうが、このコースのみであれば日帰りも可能なようです。ちなみにT2さんも日帰りでしたが、あの方は私が1泊で何とか行けるような所へも日帰りで行っちゃう方なので、全く参考にはなりません。

実は去年の秋に実行直前のところまで気持ちが高まっていたのですが、実行をためらったのは朝晩の冷え込みが強いのと、日が短いこと。椎葉〜五ヶ瀬の部分も合わせると100kmくらいのくねくね細道を走るので、時間のゆとりはあるほど安心です。そういうわけで、年が明けて5月連休〜梅雨入りまでの期間の最優先課題とすることになりました。

そして2015年5月。天草への泊まりツーリングも終え、11年ぶりのダブリン市民さんとのランデブーも果たし、正に機は熟しました。梅雨入りまでまだまだ時間はありますが、もういても立ってもいられず、大型連休明けの最初の晴天の日を決行日としました。
天草ツーリングと同じルートで鳥栖ICへ。満を持して天草のときよりも30分早い6:30に出発したのですが、このコースの際に給油するいつものセルフ・スタンドはまだ営業時間前でした。まぁ、前回給油からまだ60kmも走っていないので問題はありませんが。

それと、山越えの県601号では何と14台もの対向車とすれ違いました。平日の早い時間帯にこのルートで福岡方面へ向かう車がこんなにも多いことを初めて知りました。こういう時は都市高速を使った方が無難かもしれません。

そして、出発からほぼ1時間での鳥栖ICはいつも通り。そこからは九州道を南下します。写真は久留米IC手前の筑後川大橋です。
時間が早いことも影響があるのか、玉名PA付近は霧が発生していました。

曇り止めをしているメットのシールドは大丈夫ですが、ウィンド・スクリーンはずっと曇っています。

天草ツーリングの時少し寒い思いをしたので、今回は下に薄ダウンを着ているため寒さは全く感じません。この後、北熊本SAで給油&休憩。
小池高山IC〜R443という、先日の天草ツーリングの3日目で通ったばかりのルートで泉町の県道52号始点へ。この写真もその時撮ったものです(八代側から甲佐町方面を撮っています)。

写真の右側への道を入っていきます。


ちなみに県道52号ですが、西へ少し離れたところからR3小川町という所へもつながっているため、公式にはどこが始点かはわかりません。ただ、「熊本 県道52」で検索すると、なぜか「小川泉線」ばかりがヒットします。
いよいよ念願の険道52号です。このスタート地点の雰囲気がすでにその険道ぶりを醸し出しています。
スタート直後の県52は氷川ダムサイドということもあり、思いの外快走できます。写真はダム湖展望所から撮ったものです。
旧泉村の中心部の入り口にはGSがあります。

この先急に道が細くなります。
町の中心部分は道が相当細く、二輪と言えども離合は簡単ではありません。
県道247号との分岐点。52は左、247は右です。
分岐を上がったところから右方向へ折れる県247を見た様子。

この道は子別峠を経てR445五木川ダムの少し下流側へとつながります。いつか通ってみたいですが、ちょっとハードルが高いような・・・。

(と、この時は思いましたが、帰って調べるとここからR445まで25km程度。そのうち人吉〜美里町方面へ抜けるとき、いつもの県25号ではなくこちらを通ってみようかな、と思える距離です。時間とやる気さえ残っていたらの話ですが。)
町中は相変わらず狭いです。
中心部を抜けると、再び快走路となる県52ですが、八代農業高校の分校を過ぎたあたりから険道52へと変わります。

一度道一杯の幅のダンプと鉢合わせになり、結構段差のある道脇の斜面のスペースへ入るよう指示されました。FAZEだから何とかしのげたものの、重量バイクだったらどうなっていたことか。
次の分岐は二本杉峠へとつながる県159(左)です。

県159は地図で見る限りそんなにくねってませんし、二本杉峠まで12kmほど。ここも走ってみたいルートです。いっそ美里町からR445〜県159〜県52〜県247で五木村へ至るというコース設定で一気に走破してしまうのもいいかも。
(最近、酷道・険道に対する気持ちのハードルが以前と比べるとかなり低下してるのを自分でも感じます)
県159との分岐を過ぎると、地図上でもはっきりとわかる程険道52号のくねくね度が激しくなります。そして、分岐から先ではせんだん轟の滝まで1台の対向車もなかったと思います。
この分岐は右へ。直進すると岩奥という場所へ至るようです。
激しいくねくね区間をひたすら走ったところに、かなり大規模な集落が広がっていたのには驚きました。泉町の中心部まででも30分はかかる場所です。

この時は知りませんでしたが、県52を進んで行くと、この集落を見下ろせる場所がこの後二度あります。
険道をひたすら進んで行き、
さきほどの集落を見下ろせる場所へ。
そしてさらに前進を続け
相当高度が上がってきた感じの場所です。ここからは遠く八代海まで見えました。
ここから見下ろすさきほどの集落。明らかに見下ろし度が高まっています。集落側から見れば、かなり離れた山の上なんですが、上からだと真上からかと思うような見下ろし感を感じるのは不思議です。
ここまで来るとくねくね区間もほぼ終わり。あとは峠へゆるやかに上っていきます。
険道52号笹越峠はトンネルでした。
トンネル内部。

トンネルは途中で曲がっているため、出口まで見通せません。運悪く対向車が来たら、どちらかがバックしなきゃだめでしょう。
トンネルを抜けた県52は川沿いの道を何となく普通に下っていくため、途中の写真は1枚しかありませんでした。地図で見ても険道って感じではありません。

スムーズに下ってきて突然広がった場所が、せんだん轟の滝駐車場です。
4年ぶりですが、まるで変わっていません。右のお店が開いていて、正面のお店はシャッターが閉まっています。

前回は右のお店で平家そばというのをお昼ご飯に頂いたのですが、秋の連休中だったこともあり、他にもひと組(だったと思う)お客さんがいました。

今回は時間短縮のため、食事は買ってきているおにぎりなので、残念ながら平家そばはパス。営業しているのかどうかはわかりませんが、店内からはにぎやかなおばあちゃんたちの話し声と笑い声がずっと聞こえてきていました。

この時点で予定より20分ほど遅れていますが、予定訪問地(今回はなし)での滞在時間を短くしたり、スピードを上げ目にして走るとか不可能なので、どうすることもできません。焦らず淡々と歩を進めていくのみです。
県52の未踏部分はせんだん轟の滝駐車場まで。ここから先、樅木のつり橋駐車場までは4年前に走りました。

ちなみに今回は滝もつり橋も完全にスルーします。
県道52号とR445がぶつかる部分はふたつの道がほぼ並行しています。(左の案内板がR445のもの)
R445を走るのは5km足らず。
そして険道159へ。
最初の分岐は前回つり橋へ向かったときも通りました。進路は右へ。

さすがに暑くなってきたので、下のダウンを脱ごうかと一旦つり橋駐車場に入りましたが、峠まであと10km程度なので、そこまで装備変更は先送り。
つり橋駐車場から先は未踏路線です。

ぼんさん越への分岐は駐車場からすぐの所でした。

ちなみにこの峠名ですが、五家荘側では「椎葉越」、椎葉側では「県境峠」と案内板に表記されています。「ぼんさん越」という名称は寺のない樅木側の人々が必要な時、椎葉日添の称専坊寺のお坊さんを呼びに行ったということからきているらしいです。

村人は峠まで見送りに行き、酒盛りも行われていたらしいが、1987年に車道が開通してからはお坊さんも車で行き来ができるようになった。

そんな内容をどこかの案内板で読んだのですが、どこだかわかりませんし、写真にも残していませんでした。
分岐を入ってすぐに分岐。ここは右へ。左は通行止めになっています。ぼんさん越通行レポのサイトのどれを見ても左は通行止めになっています。事実上の廃道なんでしょうか。

国土地理院の地図をプリントアウトして持って来てはいましたが、分岐毎にしっかり案内表示が出ているので、見ることはありませんでした。
上の分岐のところにあった看板。「県道」というもののハードルの高さを今まで一度も感じたことはありませんでした。

ただ、険道52号を通ってきた身からすると、県道になったとしても大きな変化はないように思いますが、地元の関係者からすると地図に掲載されるという点でも全然違うことなのかもしれません。
しばらく上がって行くと川(にがこうべ谷)のむこう側に民家がありましたが、川には橋がありません。両岸のダート道は浅い部分の川原で向かい合っています。水量もないので、ちょっと深めの水たまりを通り過ぎる感覚で通るのでしょう。
路肩の崩落にはカラーコーンという固定観念があったので、これは新鮮な驚きでした。
先ほどの家の先に集落はないようで、路面は厳しさを増していきます。
最後の分岐は左へ。
ここにもしっかりと案内が出ています。
だいぶ高度が上がってきました。
谷底へ真っ逆さま、ということでなければガードレールはありません。
新緑が爽やかですが、路面の穴や落石には細心の注意を払い続けます。特にこういう明暗差のある部分は要注意。
間もなく峠かなと思える雰囲気になったところで崩落している崖がありました。ここはカラーコーンがありました。
これまで一体どれだけの「段差」があったかわからないのに、今さらこれ?八代市役所の設置基準がよくわかりませんが、峠に近づくほどきっちり目配りしてます、という感じが出ています。これは宮崎県側との差が際立たないための配慮なんでしょうか。
標柱には「ぼんさん道入口」とあります。いわゆる旧道なのでしょう。

バイクで走ってきても大変なのに、年に何度かはわかりませんが、ここを徒歩で往復していたなんてその大変さは想像も付きません。
そして、ついに峠に到着!(11:42)。せんだん轟での遅れを取り戻し、逆に30分ほど貯金ができています。装備変更などを先送りにして走り続けた成果でしょう。

標高がある場所なので多少涼しいと思っていましたが、そんなことはありませんでした。100m毎に-0.6℃とよく言われるパターンからすると下界より10℃位低いはずなんですが、今日は例外のようです。おそらく25℃近い気温だったと思われます。ダウンを脱いだ後はナイロンインナーも不要。ここからはベンチレーション全開の初夏仕様となります。
驚いたことに峠部分には11台もの車が並んでいます。連休の合間とは言え、平日なのにこの状況です。ちなみにここまで同じ方向へ上がって行った佐賀ナンバーの車を1台見ただけで、他に車を見かけることはありませんでした。熊本・宮崎のナンバーの他に福岡・佐賀ナンバーから多摩ナンバーまで様々。また、大牟田ナンバーの原付バイクもありました。一番手前はなぜだか個人タクシーです。
というのも、この峠は白鳥山・御池と烏帽子岳の二つの登山口になっているんです。地図に載ってなくても、登山者の間ではメジャーなルートなんでしょう。ちなみに峠の手前にも御池登山口の案内がありました。

また、登山者用と思われる仮設トイレも設置されていました。
椎葉側から見た峠部分。
「秘境ルート開通の碑」
左には「宮崎県椎葉村」、右には「熊本県泉村」と書かれています。
県境で記念撮影。

ここで開通碑の土台に座って昼食をとり、装備変更もしてしばらくのんびりしていました。そうこうしているとまた1台の車がやってきて、駐車スペースを探していました。

R265の飯干峠や尾股峠を通った時は「ここで何かあったら俺はどうなるんやろ」という不安を感じるものですが、このルートに関してはそういう不安は感じなくて大丈夫みたいです。
峠で30分程過ごし、椎葉側へ下って行きます。五家荘から上ってきた道のりよりも15kmも長いので、まだまだ気が抜けません。

とは言え、宮崎県側の道は道幅が気持ち広めで路面の荒れも少なく、上ってきたときよりハイペースで走れます。八代市役所が峠付近のケアをアピールするのがわかるような気もします。宮崎県側の峠付近に役所の存在を感じさせるような小道具は見当たりませんでした。
峠から少し下ったところにまたしても登山口がありました。ここにも十台ほど駐車可能な駐車スペースがあり、正に登山を開始しようとする老夫婦を見かけました。こんな時間から登り始めて大丈夫なんでしょうか。

登山関係のサイトを見てみましたが、ここから御池は直登で1km足らずで行けるようです。また、峠からの御池・白鳥山ルートは稜線伝いの非常にいいコースのようです。良い季節ですし、あれだけの車が集まっている理由がわかった気がします。
さらに少し下ると、道の向こうから登山スタイルの二人が歩いて来ます。おそらくさっきの駐車場へ向かっているんでしょう。

ライダーはいませんが、登山者はたーくさんいる峠道です。
五家荘側と明らかに違うのは、椎葉側では林業が盛んだということ。作業現場をいくつも見ました。
伐採と植林のサイクルがしっかりと守られているのがよくわかる眺めでした。
丸太のみで組まれた向山神社の鳥居。明治時代までは「白鳥権現」という名称だったらしいです。
さらに下ると、ぼんさん越由来の称専坊寺があります。

峠からここまで10km、上椎葉まではまだ22kmもあります。どれだけ秘境なんでしょう。
椎葉側も願いは同じなんですね。
さらに下ると、道ばたに「白水の滝」の案内板があったので停止。案内板がなかったら間違いなくスルーしていたことでしょう。なかなかのスケールの滝なんですが、写真じゃ全く表れません。

1999年までは木々に覆われて見えなかった滝が、伐採により見えるようになり、翌年案内板が建てられたそうです。そろそろ伐採の必要があるんじゃないでしょうかね。

紅葉の時期は斜面がきれいに色づくようですが、地元の人以外でここを通る人はぼんさん越を通る人くらいでしょうから、観光ポイントとしては辛いかも。駐車スペースもないし。
不土野簡易局前の三叉路に出ました。気分的には十分「終わった感」で一杯ですが、上椎葉までまだ16kmもあります。

ちなみにこの三叉路を左へ行くと、椎葉林道〜椎矢峠〜内大臣林道を経て山都町・美里町へ続きます。未舗装路です。ダート好きには有名すぎる、九州を代表する峠のようです。

椎矢峠は椎葉と矢部をつなぐ峠という名称ですが、矢部町(村)という地名がなくなってしまった今は「?」となってしまいます。
間もなく上椎葉ダムへと注ぐ耳川の風景はとてもきれいでした。
ようやく県142に出ました。不土野橋で写真を撮りたかったのですが、工事による片側交互通行だったので、さっさとその場を離れなくてはなりませんでした。

ここから約10km、まだまだ険道は続きます。
そして上椎葉ダムへと到着!

氷川ダム横の県52入口からここまで85kmの秘境路ツーリングでした。

しばし休憩の後、200km以上となる長い帰路へのスタートです。
しかしスタート直後、いきなりR265への道が通行止め。ダム堰堤上へと回されます。この部分のR265はかなり下流の橋で反対岸へ渡るので、4km近く遠回りになってしまいました。
でも、おかげで初めて堰堤下流からダムを眺めることができました。
日帰り日程で椎葉に来たことがないので、ここから帰るというのが何とも不自然な感じがします。

ただ、3年前の泊まりツーリングの帰路は同じような時間に椎葉を発っているのでその時のイメージと重なります。あの時はカッ飛びPCXに必死についていったなぁ。
3年前は椎葉を出た後、五ヶ瀬で厳しい脇道を行かねばならない所にある滝を二ヶ所も訪れていますが、今日はもうエネルギーが残っていません。秘境ルートを走り抜けられたという達成感で、半分抜け殻状態になっています。

R265でこの日最後の酷道区間を堪能します。
そして国見トンネル手前からはガンガン走ります。
馬見原でR218へ。

悩みつつも肉のみやべのコロッケはパス。

この後、山都町のファミマでコーヒー&ドーピング休憩。ファミマは休憩スペースがあるので、短い時間ながらゆったりできてよかったです。この休憩スペースに貼ってあった矢部高校の体育大会の案内パンフレットが色々と面白かったです。
ファミマ休憩から一目散に九州道へ。御船ICと小池高山ICは距離的に似たようなものですが、何となくスムーズに行ける気がして小池高山ICを選択。

帰って調べてみると、小池高山ICからの方が数十円だけ安くなるんです。
走ってばかりじゃ疲れるし、おしりも痛くなってくるので山川PAで休憩をします。

一気帰りするのは予定通りだったとは言え、非常に順調なため予定帰着時刻より大幅に早く帰り着けそうです。カミさんの帰宅より早ければ、印象もずいぶん違うでしょう。今後の平日日帰りツーリングでの行動範囲が相当広く考えられるようになります。
ラストも筑後川大橋で。
今日のルートです。長いので小池高山ICの先のみです。

予定では往路同様鳥栖ICで下りて県601山越えで福岡へ戻るつもりでしたが、もう気力・体力共にレッド・ゾーンなので太宰府ICから都市高速で一気にワープします。

ひょっとして・・・と思っていた17時には届かなかったものの、帰着は17:05。カミさんより早く帰り着けました。

走行距離は441kmでした。


出発を早めて高速をガンガン走れば、日帰りでも五家荘と椎葉の両秘境へ行くことができるという実績はできましたが、できればゆったり泊まりで行きたいエリアだと思いました。
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